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モダンクリエイティブのイラストレーターです。
私はずっと、90年代のアニメやゲームの色って素敵だなぁと思っていました。
今まではデジタルであの独特の色彩を表現しようと試みていましたが、やはり限界があると感じました。
色々と考えた結果、「セル画を作ってみたらいいんじゃない?」という結論に至りました。
でもセル画ってどうやって作るの?と思いますよね。そもそも必要なものって今買えるのか?とか。
今回、画材屋さんや文房具店、100均で買えるものなどを使って「疑似セル画」を作ってみましたので、その作り方をご紹介します。
※ご紹介する方法は本来のセル画ではなく、あくまでも個人のやり方になります。参考程度にご覧ください。

はじめてセル画を作る人や、学校の活動などで手軽に体験してみたい人におすすめです!
目次
用意するもの
- アクリル絵の具
- OHPフィルム(※必ず手書き用を使用)
- アクリルインク(黒)
- トレース台
- つけペン
- 筆(できるだけ細いもの)
- 筆洗
- パレット
- 綿手袋
- 竹串や爪楊枝(1本)
- クリップ
- 綿棒
↓実際に使用した道具
![]() | ターナー アクリルガッシュ11ml 13色セット AG13C 価格:1300円 |

![]() | エーワン OHPフィルム 手書き用 A4判 ノーカット 20枚 A-one 27040(エ-ワン) 価格:1200円 |

![]() | ホルベイン アクリリックインク 100ml AI934 スーパーオペークブラック 15934 価格:1358円 |

![]() | VANCO バンコ LEDトレース台 A4調光プラス 33364 価格:11275円 |


筆〜綿棒は100均でも手に入るので、費用を抑えたい場合は100均も活用できるね
①下絵の制作
私は普段iPadで絵を描くので、デジタルで描いた絵を下絵にしました。
・①-1.線画のトレース用に不透明度を下げて印刷したものを1枚▼

・①-2.彩色用に、普通に印刷したものを1枚▼

それぞれ用意します。
OHPフィルムは指紋が付きやすいので、綿手袋をして作業します。

筆を持ちやすいよう、利き手の親指と人差し指をカットして使用します。

フィルムに触る時は手袋をしてね
②線画を描く(トレース)
下絵①-1(トレース用)の上にOHPフィルムを乗せ、つけペンとアクリルインクで線画を描いていきます。

【ポイント】利き手と逆の方向から描いていく
アクリル絵の具は乾燥が早いですが、描いてすぐ手が触れると当然絵の具やインクが意図しない所についてしまうので、
右利きの人はフィルムの左側から、左利きの人はフィルムの右側から
描いていく(塗っていく)ようにします。

③彩色
彩色の順番は内側→外側へ
フィルムを裏返して色を塗っていきます。
まずは髪、肌、服などのハイライトから。
基本は内側→外側へと塗っていきます。
フィルムと下絵①-2(普通の下絵)を裏返しにして、クリップで固定します。

絶対ズレないように、最低2箇所はクリップで固定してね!

さらに下絵①-2(普通の下絵)も裏返すので、ここでトレース台を使ってライトで照らしながら影の部分などを塗り進めていきます。

また、絵の具は厚く塗らないと、表から見た時にムラが発生して綺麗に発色しません。
塗るというよりも、絵の具をフィルムに「置く」ように厚めに色を盛っていきます。

思っている以上に絵の具が必要だよ!
次に一番内側になる部分(一番濃い色)を塗っていきます。
髪の影、肌の影、服の影など。

塗る→乾かす→次の色を塗る→乾かすを繰り返します。

なかなか根気のいる作業だけど乾燥はとっても重要!
内側が終わったら、外側になる部分を塗っていきます。
髪のメインの色、肌のメインの色、服のメインの色など。
最初に塗った色はもうフィルムに定着しているので、上から塗りつぶしてしまっても構いません。

目のハイライトはフィルムの表から描く
目のハイライトはフィルムを表にして、白のアクリル絵の具で描きました。

その他、口や頬の///の部分などは色を変えたかったので、線画の工程でフィルムの表から描いています。(カラーのアクリルインクを使用)
【ポイント】納得いく色になるまで混色して色を作る
色作りは個人的にかなり重要だと感じました。
デジタルイラストのように後から色の調整ができないので、最初にバッチリな色を作っておくことが大切です。
下絵①-2(普通の下絵)を見ながら、絵の具を混色していき納得がいくまで色を作ります。
【ポイント】はみ出した部分を修正する方法
間違えた部分は、爪楊枝や竹串の先で削れば剥がれ落ちます。(絵の具が乾いてから削ってください)
この時絵の具のカスが出るので、綿棒で拭き取ればフィルムを傷つけず安全です。

④完成

フィルムを表に戻したら完成です!
この瞬間が一番ワクワクしますね。

裏から見ると、絵の具をかなり厚く置いているのがわかると思います。
思っている以上に厚く塗らないと、絵の具が透けてムラが発生してしまいます。
セル画を作ってみて
今回はじめてセル画を作ってみて、なんと根気のいる作業なんだ…!と思いました。
当時は分業して製作されていたようですが、確かに1枚描き上げるのでもこんなに時間と手間が必要なのに、これを何千枚と製作していたアニメスタジオとアニメーターの方には頭が上がりません。
こんなに面倒で時間もかかるものですが、やはりデジタルでは表現できない味があります。
オールハンドで引く線、試行錯誤して混色した色には生命を感じます。
当時使用していたアニメ用のセルと絵の具は、今はもう手に入りません。
そこで、身近に手に入るものでセル画を再現できないか?と考え、使った画材や方法をご紹介しました。
このブログでセル画に興味を持ち、作ってみたい!と思っていただければ嬉しいです。