デザイン制作を長年行っていると、たまにCD制作未経験の方からご依頼を頂きます。
「せっかく流通に乗せるなら、プロにジャケットデザインを作ってほしい!」という方が多いのです。
じつはCDのジャケットデザイン制作には、ちょっとした専門知識が必要。
「ネットに落ちている無料のテンプレートを使えば自作できるでしょ?」と思っていると、プレス工場への入稿時にエラーを起こしてしまう可能性もあります。
とはいえ、「デザイン会社やデザイナーにどう依頼したらいいのか分からない……」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は、CD制作未経験のアーティストさまの制作事例をもとに、ジャケットデザインの制作過程や豆知識をお届けします!
<登場人物紹介>
モダンクリエイティブデザイナー
このサイトのオーナー兼デザイナー。
長年バンド活動をしていたため、アーティストの気持ちに寄り添ったデザインが得意で知識も豊富。健康的な生活を心掛けている。
駆け出しの新人バンドマン
デザイン依頼未経験の新人バンドマンくん。
バンド活動を始めたばかりで右も左もわからない。バンドで成功したいという情熱は誰よりもある。ギターケースのような黒くて大きい何かをいつも背負っている。
目次
「CDを作りたい!」製作未経験のアーティスト様からのご依頼
今回ご依頼くださった”花音(はなの)”さんは、近畿・東海を中心に活動されているシンガーソングライターです。
弊社が運営するアパレルブランド「CMP LABEL」のTシャツデザインを見て、「絶対ここに依頼したい!」と感じてくださいました。
Modern Creative(モダンクリエイティブ)のHPを見てお問合せいただくことが多いから、CMP LABEL経由のご依頼は珍しいケースだね。デザイナーとしても嬉しいです!
花音さんが気に入ってくださったTシャツがこちら。
「作りたいCDジャケットのイメージに近い」とのご要望をいただき、このデザインを基にアイデアを膨らませていくことになりました。
CD制作やデザイナーへの依頼は初めてとのことで、まずはデザインに必要な情報を用意していただきます。
【CDのジャケットデザインを作るために必要な基本情報】
- イメージしているデザイン(使いたいモチーフなど)
- アルバムと曲のタイトル
- アーティスト写真
- デモ音源
- 歌詞
- アーティストロゴ
- CDプレスを依頼している工場について
なんでプレス工場の情報がいるの?
プレス工場ごとに入稿の規定が違うからだよ。入稿(納品)には専門的な知識が必要だから、デザイナーが担当することもあるんだ。詳しくは今後の記事で解説します!
制作スタート! まずはラフデザインから
打ち合わせと必要な情報をご提供いただいたのち、デザイン制作に入っていきます。
CDデザインはジャケット(表紙)がいちばん大事。まずは表紙のラフデザイン(サンプル)を作ります。
表紙のデザインが完璧に決まってから、ブックレットの中やCD本体のデザインを決めていくよ。パッケージを丸ごと作ってからサンプルを出してしまうと、アーティストさんのイメージと違った場合、全部やり直しになってしまうからね
花音さんからデザインに関し、このようなご要望を頂きました。
- 和風っぽいデザインが好きだけど、あまり和に偏りすぎてほしくない。
- 使っているアコースティックギターを入れたい。
- 自分が好きなモチーフ(ボディピアスなど)を上手くコラージュしてほしい。
- 真ん中にアーティスト写真を入れたい。
- 「悪癖」や「花音」のロゴは、デザインに合うようにお任せで作ってほしい。
これらの要素を、ベースのデザインに取り入れて再構築していきます。
土台の色味など使えるものは流用して、モチーフに合わせて色味を足しつつ素材を馴染ませてみたよ
そして完成したラフデザインがこちら!
CDタイトルである「悪癖」のロゴは、“筆で描いたようなクセづいた書体”を目指しました。
「浮世絵的なニュアンスのデザインに合わせつつも、和になりすぎない」ことを意識しています。
いちばん気に入っている部分です! 最初に『悪癖』のロゴを作ってから、その書体に合うように花音さんの文字を作ったんだ。彼女のパンキッシュで特徴のある声からイメージして、モチーフに安全ピンを入れているよ。ちょっと遊んだほうが面白いかなと思って、要望にはないデザインも取り入れてみたんだ
CD全体がパッと目に飛び込んでくるように、あえてカラフルに色を散りばめています。
サンプル提出後、花音さんから修正のご希望などがなかったので、表紙デザインに関してはほぼラフデザインのまま完成となりました。
ブックレットは三つ折りタイプの6P仕様。インレイにもこだわっています!
表紙デザインの確定後、ブックレットやインレイ、帯や盤面のデザインを作っていきます。
花音さんは今回が初のCD制作だったこともあり、イメージしやすいように展開図を使って各パーツの見え方などをご説明させていただきました。
今回のブックレットは、少し珍しい6P仕様。片面3ページ分割の両面印刷で、三つ折りタイプになっています。
すべて展開すると巻物のようになっているのが特徴です。
なるべくデザインがつながっている絵にしたいという、僕のこだわり!
中の歌詞部分は、読みやすいように黒で塗りつぶしています。
ブックレットだけでなく、CDの盤面やインレイも含めて「1枚のデザイン」になるように制作しました。
ちょっとまって! インレイってなに?
インレイはCDケースの下に入れる印刷物のことだよ。『リアジャケット』『バックカード』とも呼ばれているんだ
CDケースのオモテから見える部分がインレイ、CDの下がバックインレイだよ
CDデザインを作るときは、手に取ってくれた人のことを意識して、小さなギミックを仕込んでいるよ。買って開けたときに『おもしろいな』って感じてもらいたいからね!
CDの帯は両面印刷できる!
今回は片面印刷でのオーダーでしたが、じつは帯も両面印刷できるんです!
これ、意外と知らない人が多いんだよね。帯の裏面にインストアイベントの参加券を印刷しているアーティストさんもいるよ
ご指定がない場合は、白無地か、ジャケットの中から合いそうな色を選んで塗りつぶしています。
帯は片面デザインでも両面デザインでも、料金は一緒です! だから何かデザインしたほうがお得だよ
えっ! 気づかなかった! 価格が同じなら、何か載せたいなぁ
載せたいものが特に無ければ、無地のままでも大丈夫だよ
CDのジャケットデザイン制作が初めてでも大丈夫!
アーティストの個性を引き出し、音楽の魅力を視覚で伝えるCDのアートワーク。
デザインを考える上でいちばん大切なのは表紙ですが、表紙にだけこだわっても、それはデザインとは言えません。
ブックレット・盤面・インレイ・帯といった一つひとつのパーツが繋がることで、1枚の「デザイン」として完成します。
全体を見て細かいところまでデザインを作るのは、プロだからこそ出来る仕事だよ!
Modern Creative(モダンクリエイティブ)では、CD制作未経験のアーティスト様・アイドル様のために、デザイン以外の部分もフォローいたします。
まずはお気軽にお問合せくださいね!
お問い合わせはこちらから
Modern Creative(モダン クリエイティブ)
CD/DVDジャケットデザイン料金例
CD/DVDジャケットデザイン料金表
◆盤面のみ | 11,000円 |
◆2P+盤面 | 22,000円 |
◆4Pフルパッケージ(ジャケ+帯+インレイ+盤面) | 38,500円 |
◆6Pフルパッケージ(ジャケ+帯+インレイ+盤面) | 49,500円 |
◆8Pフルパッケージ(ジャケ+帯+インレイ+盤面) | 60,500円 |
◆DVD用トールケースジャケット | 27,500円 |
【価格はデザイン料金のみとなります】
CDやDVDのプレス、印刷代は別途発生いたします。
(プレス業者様へお支払い)
上記よりページ数の多いものや特殊パッケージなどは、ご要望をお伺いしたのちに、お見積もりさせていただきます。
編集後記(2023/8/4)
noteで編集後記も書いています。
デザイナーになったきっかけ
グラフィックデザイナーになったきっかけを詳しくお話ししています。
制作事例
最近のCDジャケット制作ご依頼の一例です。